ハイファイ ローファイ 俺はそれを愛と呼ぶよ

誰にも言わなかった恋がある。

 

とても好きだったし

彼の幸せを純粋に願った。

隣にいるのが

私でなかったとしても。

 

 

 

 

 

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他の誰と付き合っていても

いつも彼を好きな気持ちはそこにあった。

彼を好きだということを
一度だって人には話さなかった。

その気持ちは私だけのものだからだ。


誰にも知られず
静かに好きでいたかったし
静かに終わらせようと思っていた。

 

彼と どうなりたいとか
こうしてほしい とか
そういうことではない。

ただ、笑っていてほしい。

幸せになってほしい。

傍にはいたいけれど

恋人としてじゃなくていい。

 

「恋人」の行きつく先は2つ。

「結婚」か「別れ」だ。

 

どんな道を辿っても、
いずれはそのどちらかを選ばなければならない。


そんな関係は嫌だった。

一番長く確実に彼の傍にいられる関係、
それは “良き友人であること”だった。

 

飄々として掴みどころがなく
それでいて優しく穏やかで
人当たりも良く、面白い人だった。

そんな人を好きにならない訳がない。

 

けれど誰かに言ってしまったら
きっと友人ではいられなくなると思った。

だから黙っていた。

 

彼女が出来ても笑って「おめでとう」と言った。
邪魔をしないように遊びに誘うことも控えた。
別れたと聞けば励まして元気づけた。
「また絶対いい人が見つかる、元気出せ」
本当に 心からそう思ったし、そう願った。


本当に 本当に 好きだった。

 

彼に恋人がいる時は遊ぶのを控えていた為
2年会わないなんてこともあった。
それでも久々に会うと
まるで昨日まで会っていたかのように
いつもと変わらず楽しくやれる。

 

そういう良い関係を築けていた。

 

 

ある時、彼が海外へ行くと言った。
料理修業のための留学だ。
イタリアへ最低2年だと。


不思議と寂しくはなかった。
そりゃ多少は寂しかったが
夢を真剣に追う彼は輝いていたし
そういう彼も好きだった。
2年会わないこともこれまであったし
何より彼が幸せでいることが大事だった。

 

頑張ってこいと笑顔で送った。

 

彼はそのままイタリアに住んでいるらしい。
去年、結婚したようだ。

 

 


純粋に相手の幸せを願ったり


絶対に嫌われたくなくて


絶対に壊したくなくて


大切に大切にガラス瓶に閉じ込めて


そして 大切に大切に眺めるのだ。

 

 

こんな恋を私は二度と出来ないだろう。

そして きっと

永遠に彼を好きでいるのだろう。

 

好きだから触れられず

触れられないから気持ちも消えない。

 

 

いつか彼に会うことがあったら
言ってみようか。

 

 

 

「本当はずっと好きだったんだ。」