砕け散った夢の欠片も明日になれば星屑さ

 

狭い水槽の中で一生を終える

 

彼らは外にも世界があることに

 

 気付いていたのだろうか

 

 

 

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小さなコミュニティの中で完結する世界。

 

はみ出てしまった者同士のコミュニティであって

決して仲間とか、友達なんかじゃなかった。

都合のいい部分だけを見せ合い、

合わない部分は極力見ないようにした。

どれだけ傷付けられてきたかを自慢し合い

どれだけ世間から外れているかを競った。

 

毎日毎日変わり映えのしない話題。

同じ顔触れ、同じ場所。

 

自分が一番頭が良い

自分が一番大人な考えを持っている

自分が一番傷付いてきた

 

きっと、みんながそんな風に思っていた。

 

どうして

どこで間違えたのだろうか。

普通で良かった筈なのに。

普通が良かった筈なのに。

 

その頃の私には

「普通」というものは

酷く難しいものだった。

努力しなければ「普通」は手に入らない。

そんなことも分からずに

ただ外れていく自分を歯痒く思っていた。

 

学校に通う努力

勉強をする努力

クラスメイトと仲良くする努力

部活をする努力

それらを続けていく努力

 

出来なかった努力に蓋をして

似た者同士、毎日無為に時間を過ごしていた。

 

 

 

学校を辞めるまでの1年と少しの時間、

その間 努力が出来たのは

唯一好きだった写真部の為だった。

 

写真を撮ることが好きなのは

一瞬を永遠に切り取ることが出来るからだ。

毎秒変わっていく景色のその一瞬に、

手が届くような気がするのだ。

 

高校1年の文化祭の日

クラスの準備を終えてから部の準備に急いだ。

そこで顧問の教師に

「お前は邪魔なんだよ!」と言われた。

遅れることは伝えてあったが

人手が足りず、イライラしていたのだろう。

しかし、学校での唯一の拠り所はなくなった。

そんな教師のいる部に行く気など持てなかった。

写真なら一人でも撮れる。

そしてその日から徐々に学校へ行かなくなり

2年の6月頃からは一度も通わず8月に自主退学となった。

 

 学校から出ても水槽の中に変わりはなかった。

出て行った先は❝外の世界❞などと呼べる場所ではなかったのだ。

逃げてきただけの、努力の出来ない弱い個体が集まる水槽だった。

 

 

 

昔出来なかった努力は

積み重なったまま残っていた。

消えずにいてくれて良かったと 今は思える。

ずっとあの水槽にいたら

とっくに息が出来なくなっていた筈だ。

外の世界を知ることが出来たかどうかは分からない。

ただ、前よりはマシな水槽に生きていると思える。

 

努力して手に入れる

 

「普通」までは もう少しだ。