積み重ねた想いが たとえ偽りだったとしても
一瞬の輝きが美しいのだろうか
突然来る終わりの
その儚さが美しいのだろうか
命を燃やす火花が美しいのだろうか
彼の為には何も出来なかった。
私の人生を犠牲にしてまで
彼の隣にいることは選べなかった。
最後に言われた言葉が辛かったのではなく
最後に気付いてしまった事実が辛かったのだ。
本気で恋をしていると思い込んでいた
間抜けな自分に気付いてしまったのだった。
本当は「そんな仕事辞めろ」と言ってほしかった。
けれど、言われたのは真逆のことだった。
彼に頼まれたからといって
身体を売り続けることは出来なかった。
❝一度別れた振りをして、ほとぼりが冷めたらまた付き合おう❞
そんなのは嘘だ。
いくら間抜けな私でも分かる。
初めから愛されてなどいなかった。
その言葉を信じた振りをして、逃げ出した。
仕事からも、彼からも。
ある日突然
素敵な人が現れて
自分を好きになってくれて
腐った毎日から助け出してくれる
そんなものは映画や小説や漫画の中の
フィクションの世界だけの話だ。
現実には
自分がまともじゃないなら
まともじゃない人としか関われない。
周りの人間は自分の鏡だ。
自分がしっかりしていないから
相手がどんな人間かも分からない。
自分を安売りするような人間だから
大切に思ってもらえないのだ。
碌でもない男に
心を奪われ続けるのは
自分が碌でもない女だからだ。
何度身体を重ねても
私たちは関わり合うことが出来なかった。
互いに向き合うこともなかった。
今はもう
彼が誰だったのかも思い出せない。
刹那的なものは何でも
儚く、美しく、魅力的だ。
けれど触れない方がいいものもある。
傷付く覚悟がないのなら
触れるべきではないのだ。