野生の残り火抱いて 素足で走れば

肌に纏わりつくような暑さの中を

 

車の窓を全開にして走った 

 

空が青かった

 

海が青かった

 

それだけで十分だった

 

二度と戻らない あの夏の日々

 

 

 

 

 

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毎日が輝いていた。

 

学校へ行かず、仲間と集まっては

その辺で喋ったり、騒いだり

海沿いをドライブしたり

こんな日々がずっと続けばと願った。

 

好きな男―その時は彼氏だと思っていたが―

その彼が運転する助手席で

景色を眺めるのは最高の時間だった。 

 

どこへ行くでもなく

ただ車で遠くまで走るのが好きだった。

 

今でもそうだ。

目的地のないドライブは

まるで子供の頃の探検ごっこのように

大人になった私の心を躍らせてくれる。

 

茹だるような暑さも

じわりと熱を帯びた空気も

何もかも

夏の日はいつも

私を「17歳」へ連れ戻すのだ。

 

今でも鮮明に思い出せる。

空気も、風も、匂いも、熱も。

 

そんな夏を

一体どれだけの人が

体験できるだろう?

 

それから幾度となく

夏がやってきて

その度 私は

あの夏をなぞるように

焼けるような暑さの中を

窓を開けて海辺を走るのだ。

 

ハッピーエンドではなかったけれど

それでも私には愛おしい日々。

決して戻らない夏に

いつまでもいつまでも

恋焦がれてしまうのだ。